手取り17万円、50代氷河期世代の非正規は10年後どう生きる?

本日は2023年3月3日。

最近の政治経済ニュースでは賃上げや少子化対策がほとんどですよね。

私はバブル末期にサラリーマンになって14年前に早期退職しました。

私のすぐ後の世代が就職氷河期世代です。

いまの世の中、大手企業を中心に、才能豊かな若手の人材確保のため、諸外国との賃金格差是正のために積極的な待遇改善や給与額アップといった対策が話題になっています。

そんな状況にわが身を嘆き、口惜しさと嫉妬を募らせていますが、「若手」VS「中高年」という対立構造を『蚊帳の外』から見ている人たちも…。

若手VS中高年の対立を眺めている「場外の人たち」

大手企業の初任給引き上げ例

どこの企業も必死に優秀な新卒を確保に走り出しています。

●三井住友銀行:4月入行新卒の初任給を5万円アップ

●ファーストリテイリング(ユニクロ):新卒初任給を30万円に!

●JR東日本:初任給8,000円引き上げ

●オリエンタルランド(東京ディズニー):大卒初任給を2万円アップ

これは新卒ばかりではなく、新卒から30代ぐらいまでの「若手」と呼ばれる世代全般をターゲットにした給与改善の人事施策になっています。

では、一般的に給与水準が高くなっている40代、50代についてはどうなんでしょうか。

40代、50代の正社員は不満を持ちつつも…

40代、50代のサラリーマンといえば、自分の仕事の能力について、すでに痛いほど理解している世代だと思われます。

若手のようなチャレンジングな働き方を望む方は少なく、定年まで(もしく子会社への出向まで)できるだけ波風立てずに過ごしたい人が大半になっているのでは?

会社の経営層もそれをよくわかっているからこそ、「若手中心の賃上げ」にしているのだと思われます。

40代、50代会社員からすれば、若手だけへの厚遇は面白くないでしょうが、自身の安全を考え、不満を感じつつも、定年まで無難に乗り切りたいというのが本音ではないでしょうか。

「若手vsベテラン」のせめぎあいの蚊帳の外の方々

でも、「若手vs.ベテラン」のせめぎあいの蚊帳の外に置かれているのが「非正規」の立場で働く方々でしょう。

現在の40代・50代前半の方々は就職氷河期に直面した世代でもあります。この方々が大学を卒業した1993年~2000年代は景気が冷え込み、多くの企業が採用活動を縮小・中止しました。それにより学生たちは思うような就職ができず、非正規雇用の立場で転職を繰り返すことになった人も少なくないでしょう。

2000年代後半には一時的に雇用環境が改善し、そのタイミングで正社員に滑り込めた人はセーフだったでしょうが、その後はリーマンショックの直撃を受け、雇用環境は悪化。2010年代中ごろに少しばかり改善したものの、そのとき既に最初の氷河期世代は40代後半にの年齢になっていました。キャリア(経験)の無いミドル~シニアの方々を企業が正社員として積極的に採用するケースはほとんど無く、多くの方々はいまなお非正規の立場で就労を続けています。

就職氷河期の問題

社会的にも、政治的にも注目され、正社員化を後押しする支援が官民で提案されるなど一定の動きはありました。しかし、当時からも「いまさら感」が漂っていました。

「50代非正規」が65歳から手にする年金額

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』

これによると、大卒男性で非正規の給与の中央値は24.5万円。

50代前半は22.3万円。

手取りにすると17万円ほど。

ずっと非正規だった方の65歳からの年金額は?

新卒~60歳定年まで、現在と同じ水準で、厚生年金にも加入していたとして、

その場合の65歳からの年金額を試算してみました。

★国民年金

納付年金額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)

受給額は月5.2万円になります。

★厚生年金

①加入期間が2003年3月まで

平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×加入月数

②加入期間が2003年4月以降

平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×加入月数

●②だけで計算すると、厚生年金満額支給で現在の受給額では月11.6万円

ただし、これは非正規でも厚生年金に加入できたというラッキーな場合です。

2020年10月から、非正規(短時間労働者)に対する厚生年金保険の適用が拡大されましたが、それ以前の場合、非正規は厚生年金に加入できないことも珍しくありませんでした。

つまり、月11万円より少ない年金しか受給できないケースも多いと考えられますね。

65歳からの生活は?

生活していくお金は?

老後生活を送るには、上記の年金額だけでは足りませんよね。

氷河期世代の非正規の方たちは、公的年金だけで生きていくのは困難になる可能性が高く、多くの場合、高齢となっても就労継続の必要があるでしょう。

いや、働かざるを得ませんよね。嫌でも。

働けないとか、最悪の場合

年金以外の収入が途絶えてしまったら…「生活保護」というセーフティーネットに頼らざるを得ないのでは?

ただ、彼らが一番困っていた時に国からスルーされてきた経緯がありますので、

「いまさら国に助けてもらおうとは思ってないよ」と怒られそうですね。

「生活は厳しく、結婚もできず、老後の見通しも立たない。可能性のあった若いころに、国からも企業からもそっぽを向かれた結果が今のこの生活」

まとめ:再考を要する就職氷河期の方々への支援

国は2020年度から3か年の計画で就職氷河期世代などの就労支援に乗り出しましたが、コロナ蔓延の時期と重なって想定した成果はまったく…。

そのため支援事業は2年延長となりました。

しかし、それで十分な成果が得られるんでしょうかねぇ。

今一度、就職氷河期非正規の方々への支援を再考していいのではないでしょうか。

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